◆菜種油
主にセイヨウアブラナから採取した植物油。
市販される菜種油でもキャノーラ油は、品種改良によってエルカ酸(過剰摂取により心疾患の原因)とグルコシノレート(甲状腺機能障害の原因)を含まないキャノーラ品種から採油されたものであり、厳密には菜種油とは違うものである。
脂肪酸組成に占める割合としてオレイン酸60%、リノール酸21~32%、リノレン酸9~15%、パルミチン酸5%、ステアリン酸2%と不飽和脂肪酸を多く含むため、比較的酸化に弱い。
近年では遺伝子組換え技術を利用したラウンドアップレディー(グリホサート耐性)品種、リバティーリンク(グルホシネート耐性)品種が主力であり、カナダを中心に生産され、遺伝子組換え食品として、大量に日本に輸出されている。
筆者としては総合的な理由からあまり使わないが、マクロビオティックの教室などで使われる菜種油は無エルカ酸品種から搾油されているものが多い。
商品として購入する場合、酸化に強い遮光瓶詰・低温圧搾、かつ素材の安全性の高いものを選ぶことをお勧めする。
◆米油
米糠から抽出される植物油。
原材料は玄米を搗精した際の副産物である米糠であり、日本では主食である米を原料にしているため、原料をほぼ国産で賄える唯一の植物油である。
脂肪酸組成に占める割合としてオレイン酸39%、リノール酸こ33%と不飽和脂肪酸とビタミンEを多く含む。パルミチン酸17%弱、ステアリン酸2%弱の飽和脂肪酸も含むため、加熱による酸化が起きにくいことが特徴。
米糠を活かし、更にビタミンEが強化されている玄米油というものもある。
油独特のクセがなく、2014年現在遺伝子組み換えの可能性がなく、多くの料理やスイーツで使うことが出来るため、筆者としてはお勧めする。
◆ココナッツオイル
ココヤシ果実(ココナッツ)の巨大な種子内部の胚乳から抽出精製された植物油。
アブラヤシの種子から採れるパーム核油も似た性質を持つ。
脂肪酸組成に占める割合としてラウリン酸が50%、ミリスチン酸が15%~20%、パルミチン酸が10%弱と飽和脂肪酸が多く、ヨウ素価も極めて低い(7~16)ため、空気にふれても酸化しにくいのが特徴。
中鎖脂肪酸含有率が高く消化・代謝され易いため、乳幼児や病人の食事としても適している。
マクロビオティックでは陰性に属するためにあまり使われないが、独特の風味を持ち、ヴィーガンスイーツには良く使われる。
精製されていない純度の高いココナッツオイルは18℃以下になると白く固体になる特徴があるため、低温下で保存すればショートニングの代用品としての利用が出来る。
固化したココナッツオイルは24℃以上で透明な液状に戻り、温度変化を繰り返しても品質に問題は生じない。
◆有機ショートニング(パーム油由来)
アブラヤシの果肉から採れる植物油。
オレンジ色をした常温で固体の油脂で、独特の芳香と甘味を持つ。
脂肪酸組成に占める割合としてパルミチン酸43%、オレイン酸36%、リノール酸9%で、その他ステアリン酸4%、ミリスチン酸1%が含まれており、組成全体としては牛脂に近い。
常温で固体であるのは飽和脂肪酸であるパルミチン酸を多く含むためで、ヨウ素価も比較的低い(43~60)ため、空気に触れても酸化しにくいのが特徴。
融点は36度~38度のため、常温下では一般的なショートニングと同じように利用可能。
